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筈井家(はずいけ)[Hazuike]

所在地
 上京区
 
選定番号
 第8−008号
  


推薦理由(抜粋)
 安土桃山時代の絵師 海北友松(かいほうゆうしょう)とその嫡子である海北友雪(かいほうゆうせつ)ゆかりの町家。江戸時代から明治時代まで,京都の禁裏で御用を務める絵師の家として存続した。現在の町家は明治時代に建てられた。



認定番号
 第220号

認定理由
 筈井家は二条城の北側に位置し、上京区の日暮通りに面する町家建築である。御幣が残され、棟梁(頭梁)三上金助の施工により、明治45年(1912)に建築されたことが分かる。同家の家系は桃山期の絵師・海北友松の末裔に当たり、明治末に居宅を建築して同地に移ってきたとされる。
 建物は、間口3間、奥行き8間半の規模である。大棟形式の屋根を架けた、やや建ちの低い本2階建である。外観は1階に平格子を嵌め、2階に大正窓の意匠のガラス戸を嵌める。平面は南側に土間を配し、1列4室を配する構成である。玄関土間部分の上部のみ根太天井が張られ、2階に物置が設けられている。表側のミセノマの奥には階段へと延びる廊下が配され、近代的な住宅思潮の影響が感じられる。奥には7畳半大の大きさの座敷を配し、座敷奥には太湖石を思わせる変化のある石や、灯籠を配した庭が設けられている。2階は板敷の踊り場の表側に1室、奥に2室の和室を配する。表側室の室内は、屋根勾配に合わせて傾斜のある棹縁天井を貼っている。こうした2階居室は、本2階建町家が成立する過渡期の様子を感じさせる。奥に配された7畳半大の座敷には、床と違い棚を備える。床廻り全体に配された落掛けに加えて、床部分には二重に落掛けを設ける独特の意匠を用いている。1階のハシリ土間部分は床と天井を張り台所等に改修されているが、2階からは現在でも土間上部の吹抜け空間を見ることができる。
 筈井家は明治末期に建築された町家建築である。本2階化が進む途上の、京都の町家の近代化の過程をみることができる建物である。床廻りの意匠に特徴的な意匠が用いられる点も興味深い。桃山期の絵師・海北友松の系譜を継ぐ、ゆかりの価値も評価されよう。



 歴史的風致形成建造物

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