所在地 上京区 |
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選定番号 第9−032号 |
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推薦理由(抜粋) 織屋建ての町家。ホテルやマンションの建設が増え,失われつつある西陣の歴史的景観と地域文化を継承するために推薦する。 認定番号 第203号 認定理由 西陣寺之内通の町家は、寺之内通の南側に面した間口約3間の標準的な町家建築である。建物全体を一つの屋根で覆う大棟型の形式をとる。登記簿資料から、明治27年(1894)時点において建物が既に建っていたことが確認される。建物は東側に通り土間を配し、1列に3室が並ぶ平面構成である。現所有者が同建物を購入した際には4室が並ぶ平面であったが、奥の室は後世に土間へ増築されたものであったことが分かり、令和3年(2021)の改修時に土間へと復原された。こうした奥に配置される土間は、織機を置いた生産空間として使用されたものと考えられ、西陣地域に残る「織屋建」の形式であると言える。調査により増築時に和釘と洋釘が併用されたことが分かり、その洋釘の形状などから、その改変の時期は明治10年代と推測されている。柱には古い部材が確認され、大きな改修を経てはいるものの、当初の建築年代は近世に遡るものと推測される。 建物は1階には出格子を嵌め、2階をむしこ窓とする外観である。表側6畳間(ミセ)では土間境に戸袋が設けられ、板戸で仕切る古風な形式が残されている。住宅としての活用のため、改修時にミセの奥の3畳間と4畳半間の境を半間分移動しているものの、3室続きの居室空間が踏襲されている。奥の土間は吹抜け空間に復原され、織物生産の場の様子を良く伝えている。 西陣織の衰退や生産形態の変化により、織屋建の町家は失われてきたため、現在でもその空間構成を残す町家は数少ない。特に小規模な織屋建の町家が保存されている例は稀であり、同建物は貴重であると言える。当初の空間構成への復原を試みながら生活空間として活用を図る点においても、評価される事例であろう。 |
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