京都を彩る建物と庭園

今月の「彩」
中村軒
<Nakamuraken>



推薦理由(抜粋)
 創業明治16年の老舗饅頭屋である。約30年前に住居部分を茶店にする等,時代の変化に準じて建物に手を加えられているが,むくりのついた大屋根に煙出し,虫籠窓等が残っており,店先の雰囲気から当時の往来客の様子を想像させられる。
認定理由
  中村軒は,明治16年(1883)の創業から5代続く和菓子屋である。敷地は,桂大橋西詰の八条通り南側に北面して建っており,桂大橋架け替えの際,昭和4年(1929)に曳家されたと伝わる。
主屋は明治37年(1904)の建築で,オモテをミセノマとし,奥に住居,厨子2階に寝室を構えた町家建築である。主屋は間口5間,奥行き6間半で,切造り,平入桟瓦葺の厨子2階建てで,大屋根には煙出しの腰屋根を持ち,北面には虫籠窓を持つ。ミセノマは土間で広く開放し,土間の正面奥に座敷が2間と平屋建ての離れが続いている。座敷に続くナカニワは,春日灯籠を中心として松,紅葉,沓脱石や手水鉢等がバランスよく配されている。京郊農村地域の町家として貴重な建物である。

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