京都を彩る建物と庭園

今月の「彩」
吉村家(松雲荘)
<Yoshimurake(Shouunso)>



推薦理由(抜粋)
 眺望を活かした続き和室と洋風に仕上げられた家族室・食堂がある木造2階建て の住宅である。伝統建築を継承しつつ生活の洋風化を試み,住宅改良運動の傾向 と郊外に住宅地が形成され始めた昭和初期の傾向も読み取ることが出来る建物で ある。
認定理由
 吉村家は,昭和4年(1929)に建築されたと推測される。木造2階建,入母 屋造瓦葺(一部銅板葺)の建物は,北側,東側に面して和室,南側は洋室で構成 される。洋室の上にバルコニーを乗せ,南面にテラスとパーゴラを配しているも のの外観は全体的に和風でまとめられている。郊外立地の眺望を活かした応接と しての和室と日常空間としての家族室,食堂を日当たりの良い南側に配したつく りは,住宅改良運動の思想を取り入れたものとなっている。また,敷地北側,東 側の庭は,比叡山や松ヶ崎の山並みの眺望を取り入れたつくりとなっている。戦 前の近郊住宅の形と,生活の洋風化に対応した住宅の近代化の歴史を伝えるもの として貴重である。

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