京都を彩る建物と庭園

認定 バザール・カフェ
(ばざーる・かふぇ)
[Bazaar Cafe]
所在地 上京区  選定番号 第7-007号

推薦理由(抜粋)
 大正8年(1919),キリスト教宣教師の住宅として建てられた。設計はヴォーリズで,現在はカフェである。オープンデッキのある庭,室内の暖炉など,建物と食事を楽しめる癒やしの場である。




認定番号 第202号

認定理由
 バザール・カフェは同志社の宣教師住宅として、同志社を支援したアメリカンボード(米国のプロテスタント組織)によって建てられた。設計はヴォーリズ建築事務所が担当している。現存する設計図面には昭和13年(1938)と年記があり、登記簿から翌年には既に建築されていたことが判明する。建築後しばらくして、同志社の女子部で英文学を教えるエスタ・L・ヒバド女史、ピアノの教師フランシス・クラップ女史、そして同志社中学の英会話の教師アリス・グイン女史の3人が居住した。この際、建物には3人の姓を合わせて「クラッパードイン」と名付けられた。
 建物は、東西の通りの南側に面して建つ。通り側に玄関を設け、現在は広場となっている庭が南側に配された。木造2階建で、屋根は焦げ茶色の桟瓦で葺かれる。外壁はスタッコ仕上げで、スパニッシュ様式の外観となっている。当初は、北側から入る玄関ホールの東側に応接室、南側に居間と食堂、西側に台所や女中室を配する平面であったが、90年代には表側に新しい玄関と階段が増築された。2階には寝室として用いられた3室が配されている。1階の居間・食堂は建具を開放すると広い1室となるが、平成9年(1997)にバザール・カフェが開店し、この室がカフェ空間として活用されている。台所は、備え付けの食器棚など、当初の様子が良く残り、現在もそのまま厨房として用いられている。
 バザール・カフェは、ヴォーリズ建築事務所の設計による、昭和初期のスパニッシュ様式の住宅建築である。宣教師の居住した建物は、現在も教会や芸術家、市民などで構成されるプロジェクトによって、カフェとして活用されている。ヴォーリズ設計による宣教師住宅の空間が、ミッションの精神によって継承されている点でも、高く評価することができる。

ホームページリンク:
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