認定番号 第120号
認定理由
今原町家は間口3間半奥行8間の規模を有する表屋造形式の本2階建町家である。主屋の奥には小規模な離れが建つ。施主は組紐製造業を営んでいた今原喜久一で,昭和3年に同敷地を購入している。御幣の幣串が残り,大工は西村磯治郎の施工により,昭和4年(1929年)に上棟したことが判明する。同家では,組紐製造の機械化をせずに正絹の手組みを行なっていたため,専用の工場空間はなく,主屋内で作業を行なったという。
1階は出格子部分を室内に取り込み,腰に自然石を貼り,2階にはガラス窓を嵌める,昭和初期に顕著に見られる外観をとる。平面は南側に通り土間をとり,1列に4室を並べる。2階は表屋部分上部南寄りに洋室,居住棟奥には10畳の客間を配する。洋室は通りからの外観では真壁造とするが,背面にはタイルを貼る洋風の外観である。内部は腰に板を貼り,上部を漆喰壁とする簡素な意匠である。奥の10畳間は床柱に5寸径の太い絞り丸太を用いる点が特徴的である。階段は玄関部分と仏間奥の2箇所に設けられ,奥の階段は180度折れる形式で特徴的である。
昭和初期の本2階建町家で,2階に洋室を設けたり,2階客間を10畳とするなど,京町家の近代化の過程がみられる町家として評価される。
参考 歴史的風致形成建造物
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