山本家(仁風庵)(やまもとけ(じんぷうあん))
[Yamamotoke(Jinpuan)]
所在地 上京区
選定番号 第8-053号
推薦理由(抜粋)
昭和15 年(1940)頃に建てられた近代和風住宅。施主の山本仁三郎は,岐阜で白生地商を営み,大正9年(1920),京都に店舗を構えた。
認定番号 第129号
認定理由
施主の山本仁三郎は岐阜で白生地問屋を営み,大正8年頃には京都にも支店を出している。昭和11年,実業無尽会社の社屋であった町家を購入し,自宅として建替えたのが現在の建物である。土蔵には墨書があり,昭和15年(1940)の上棟と確認され,主屋も同時期の建築と考えられる。主屋は木造2階建,桟瓦葺。経済統制が強まる中,知人の木材業者を介して良材を入手することができたと伝わる。
角地の南面に表門を設ける。玄関を入ると右手に洋風応接室,左手には居間(旧老人室)と茶室が設けられている。奥(北側)には中廊下がのび,主庭に面した東側に絞り丸太の床柱を用いた12畳半の座敷など,和室3室を,西側には台所,風呂などの水廻り空間を配している。また,2階には客間と次の間,洋室などが配される。洋風応接室では天井照明や建具に装飾ガラスを用い,アール・デコ風の意匠も用いられる。真壁造の和風外観であるが,洋風応接室とその上部のテラス部分のみが洋風意匠となっている。洋室や茶室を有する,上質で規模の大きい近代住宅として高く評価される。
参考 国登録有形文化財(建造物),
景観重要建造物