認定番号 第127号
認定理由
造園業を営んでいた大野松之助が大正12年(1923)に料理旅館「船岡楼」・浴場「特殊船岡温泉」,理髪店を創業したことに始まる。船岡温泉の建築は,当初船岡楼の附属浴場であったが,戦後,旅館廃業に伴い,銭湯となった。船岡温泉の脱衣場は木造2階建,桟瓦葺で,棟札から大工・佐々木長次郎の施工と判明する。当初,背面に 煉瓦造平屋建の浴場・釜場が建築されたが,昭和7年(1932)に鉄筋コンクリート造の浴場棟に改築された。外観には唐破風が付くが,これは建築申請資料から,昭和3年に増築されたものと分かる。脱衣室の四周には,賀茂競馬,今宮祭などの祭礼,また中央の仕切り壁には上海事変(昭和7年)の「肉弾三勇士」を題材とした彫刻欄間が嵌められている。また,脱衣場や浴場棟への通路にはマジョリカタイルが張られている。脱衣場の西側には,木造2階建,桟瓦葺の旧船岡楼が建ち,2階には12畳間3室が連ねて大広間となる空間が残る。特徴的な銭湯建築としてのみではなく,大浴場を備えた大正期の料理旅館や理髪店の建物が一式で現存している点で重要である。
参考 国登録有形文化財(建造物)
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