日本福音ルーテル賀茂川教会(にほんふくいんるーてるかもがわきょうかい)
[Japan Evangelical Lutheran Church Kamogawa]
所在地 北区
選定番号 第8-026号
推薦理由(抜粋)
昭和29年(1954)に建てられたヴォーリズの設計による教会。赤瓦の屋根とクリーム色の外壁が素朴で親しみを感じる。礼拝堂は祭壇上部のアーチが印象的で,木造トラスの小屋組,白い壁,木の腰壁で囲まれた温かみのある空間である。戦後に建てられた貴重なヴォーリズ作品平成16年(2004)年に築50年を迎えた。
認定番号 第158号
認定理由
北区小山の鴨川に程近い地に建つ。日本福音ルーテル教会はプロテスタントの一派であるルター派に属する。ルター派は明治25年(1892)に日本に伝道された後,戦時中の大政翼賛政策によりプロテスタント諸派が合同した日本基督教団に参加したが,戦後,ルーテル教会が発足した。
賀茂川教会は,昭和29年(1954)に,ヴォーリズ建築事務所の設計によって建築された。建物は木造で,スパニッシュ風の桟瓦で葺かれている。東西方向の棟の西側に内陣を配し,入口脇には鐘塔を設けている。内部は玄関ホールを入ると会衆席となり,奥に説教壇が配される。天井は,キングポストトラスの両端を下から斜材で支える構造を意匠として見せる。会衆席の両側には集会室や台所等8室が設けられている。身廊と側廊を有するバシリカ平面を予想させる外観だが,内部は側廊に当たる部分が集会室として利用する合理的な設計となっている。入口ホールの上部には2階席を設け,鐘塔へと接続する。
日本福音ルーテル賀茂川教会は,赤い屋根,薔薇(ばら)窓,アーチ窓などがアクセントとなり,簡素ながらも瀟洒なプロテスタント教会として評価される。戦後のヴォーリズ作品としても興味深い建物である。