岐美家(みちよしけ)[Michiyoshike]
所在地 北区
選定番号 第6-030号
推薦理由(抜粋)
昭和初期の住宅建築。表門,洋館付きの主屋,離れ,土蔵からなる。主屋は庭に面して雁行して建てられ,南東角に洋館が繋がる。寺院建築の意匠を用いた大玄関,数寄屋風の座敷,鳥のレリーフ等が施された洋館の外観など,瀟洒であるとともに施主の趣味が感じられる。
認定番号 第91号
認定理由
岐美家は,孝明天皇女御の英照皇太后に仕えた女官である藤原公子に遡り,岐美の姓を賜ったのが始めとされる。昭和2年~8年にかけて実施された東紫野地区の土地区画整理事業で整備された土地に,昭和10年(1935),大徳寺門前から転居し建築されたのが現在の建物である。主屋は木造2階建,桟瓦葺で,舟肘木と蟇股を用いた寺社建築の意匠を用いた大玄関を南側に設ける。1階座敷は,床柱に磨き丸太を用いて長押を丸太長押とし,北側の仏間は網代天井とするなど,数寄屋を加味した意匠を用いている。玄関の東側には洋風応接室を配し,マントルピース風のキャビネットやステンドグラスにはアール・デコ風の意匠が見られる。主屋の奥には茶室を設けた木造2階建の離れと,離れと接続する土蔵を設けている。主屋の南側には,築山に設けた滝口から流れを池に落とす構成の庭を配する。土地区画整理事業に際して建築された昭和初期の住宅であり,数寄屋,寺社建築,洋風の意匠を用いた質の高い近代和風住宅として重要である。
参考 国登録有形文化財(建造物)