中川八幡宮社)
(なかがわはちまんぐうしゃ)
[Nakagawa-Hachimangusha]
所在地 北区
選定番号 第2-048号
推薦理由(抜粋)
室町以前に創建され,大火により焼失も明治28年(1895)に再建。境内にある白杉は推定500年を数えられる。山の傾斜地に建ち,鎮守の杜として山の神々を祀ったという由緒にふさわしい趣を持っている。
認定番号 第169号
認定理由
中川八幡宮社は,北山杉の磨き丸太の産地として知られる北区中川地区の鎮守社である。創建の詳細については不明であるが,寛文12年(1672)に社殿が焼失したことが伝わっている。境内は周山街道に面して拝殿や手水舎が配され,一段上の敷地に本殿,春日神社,大神宮(だいじんぐう),山神社(やまじんじゃ)が建っている。境内の北側の斜面を上ると,御神木である大杉と愛宕社がある。明治27年(1894)には中川地区の大火で境内建物が焼失し,本殿など主要な社殿は翌年の明治28年(1895)に再建された。大正9年(1912)から4か年をかけて境内が整備され,この際,社殿も改築されたことが記録から確認される。拝所と覆屋が造られ,本殿と両脇の春日神社,大神宮を収めている。
本殿は杮葺,一間社流造の建物で,1間の向拝が付く。両脇の2社は小規模ながら,春日神社は春日造,大神宮は神明造の形式をとる。覆屋の南側に建つ山神社は昭和29年(1954)に改築された建物であるが,向拝や木鼻は装飾的で,北山丸太の生産が全盛期であった頃の中川地区の盛況さを窺うことができる。境内の大杉は「白杉(しろすぎ)」と呼ばれる推定樹齢600年の巨木で,中川の杉林は大杉からの挿木に由来すると伝承されている。
中川八幡宮社は,中川地区の信仰の中心であり,歴史的にも,集落景観においてもシンボルとなる存在として重要である。