京都を彩る建物と庭園

認定 和幸庵
(わこうあん)
[Wakoan]
所在地 北区  選定番号 第5-020号

推薦理由(抜粋)
 昭和28年(1953)以前に福徳銀行創設者が材木商から買い取った約190坪の邸宅で,能楽や茶道・華道などの伝統文化を楽しむ活動の拠点となってる。





認定番号 第133号

認定理由
 和幸庵は,昭和初期には「衣笠絵描き村」と呼ばれ多くの画家が住んだ地域に位置する。また同地では昭和9年から区画整理事業が実施され,同16年に完了している。材木商を営んでいたとされる鈴木商店の鈴木栄治によって,昭和28年(1953)に新築の登記がなされている。居宅ではなく,材木の商談を行なう際のショールームとして建てたものと伝わっている。翌29年,福徳銀行の所有となり,昭和39年に同銀行の創始者であった現所有者の祖父の所有となった。なお,現所有者によって和幸庵と名付けられ,活用が図られている。
 木造2階建,桟瓦葺の建物で,敷地の南側に門と塀を構える。玄関奥を階段室とし,中廊下を配する。中廊下の南側に座敷と次の間,北側には仏間と茶の間を配し,各々縁廊下を通す。西側奥には茶室を設ける。玄関の東側に応接間を配し,天井には網代を用いてやや折上げ,アカマツの丸太で見切りを付ける形状をとる。座敷は床(とこ),琵琶床(びわどこ),付書院を備える。仏間には付書院風の棚を設けるが,ハス欄間や雑木を用いた小壁の飾りなど,変木を用いた特徴的な意匠である。茶室から座敷部分の南側には,池の背面に築山を設けた庭を備えている。
 材木商の商談の場として,銘木・変木を用いて特徴的な意匠を有し,戦後における良質な和風住宅の事例としても,大変重要である。

ホームページリンク:
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