京都を彩る建物と庭園

認定 旧建部歯科医院

(きゅうたけべしかいいん)
[Kyu Takebe dental clinic]
所在地 左京区  選定番号 第8-013号

推薦理由(抜粋)
 昭和28年(1953)に建てられた増田友也設計による鉄筋コンクリート造の診療所兼住宅。増田友也初期の設計で,小規模ながらモダニズムの合理性と増田の感性が融合しており,竣工当時の形態が良く保存されている。



認定番号 第111号

認定理由
 歯科医院と住宅を併用する建物として,昭和28年(1953)に建てられた。設計者の増田友也(1914~1981)は京都大学建築学科を卒業し,同学科の教授を務めた。建築論の研究者として活躍する一方,尾道市役所,蹴上浄水場などを設計した。鉄筋コンクリート造2階建,片流れ屋根で,外壁はモルタル仕上げとする。東側に玄関を開き,医院空間を北側,居住空間を南側に配置する。1階は,南側に居間兼台所,北側を吹抜けの待合室・診療室とする。2階は,寝室,子供部屋を配する。2階室に明障子を用いるなど和風意匠を取り入れる点も注目される。ファサードは縦に3分割され,中央にガラス入り建具,北寄りにコンクリート製の縦ルーバーを並べる。延べ床面積約70㎡の小規模の建築で,戦後,池邊陽の「立体最小限住宅」など空間的な豊かさを追求した狭小住宅の提案に位置付けられる。その中でも,医院を併用した鉄筋コンクリート造の作品として評価される。

参考 国登録有形文化財(建造物)