認定番号 第69号
認定理由
南禅寺順正は,蘭学医として名高い新宮凉庭が天保10年(1839)に建てた医学校であり文人のサロンであった「順正書院」を元とする。敷地中央に位置する書院は,入母屋造桟瓦葺,数寄屋造となっており,東南に上段の間を置き西側にイロリの間,次の間などを配し,北に茶室を付設する。室内における上段や天井の構成,南側壁面の意匠には,個性的な工夫が見られる。また,書院と供に「花洛名勝図会」にも見られる前庭と石門は,近世来の様相を色濃く残し,書院のまわりを囲む庭は,流水や園地を配したものとなっている。書院,庭の一部がよく保存され,南禅寺と一体となった江戸時代の門前の姿を今に伝え,歴史的な景観を形成するものとして貴重な存在である。
参考 国登録有形文化財(建造物)
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