中村家(なかむらけ)[Nakamurake]
所在地 下京区
選定番号 第6-020号
推薦理由(抜粋)
本2階の比較的大規模な町家である。聚楽土で押さえられた外壁,ベンガラが塗られた木部,虫籠窓,平格子などの多彩な意匠は,間口が広い商家造りの特徴を持っている。
認定番号 第177号
認定理由
中村家は七条通に面して建つ本2階建ての町家建築で,棟札から大工・鈴木営次郎の施工により大正2年(1913)に上棟したことが確認される。七条通は大正元年に道路拡幅とともに市電が開通しており,同家の建築もこれに際したものと伝わる。建築当時は雑穀商を営み,小売と卸業の両方を行っていたという。
通りに面して広いミセ土間を配し,店舗部分として使用された。土間の一部は板敷の帳場として用いられた。営業時には店舗部分は通りに全面を開口して,格子戸によって戸締まりを行っており,現在も格子戸と戸袋がそのまま残されている。居室のある上手部分のみが出格子の外観となる。2階外観は下手部分をむしこ窓,居室部分はガラス窓の外側に格子が嵌められている。ミセ土間の奥のハシリ土間沿いに2列6室を配する平面をとる。上手には表側よりブツマ,ツギノマ,オクノマを配する。2階も2列6室で上手奥の客間は10畳で床柱には変木が用いられる。オクノマに面して3基の灯籠を配した庭を設け,主屋奥には土蔵が建ち,春日灯籠を配する庭が設けられている。
中村家は,七条通の道路拡幅に際して建築された大正期の本2階建町家であり,通りに開放された雑穀商当時の店舗空間を伝える。拡幅された広い通りに面して景観が形成されていった当時の歴史を伝える重要な建物である。