京都を彩る建物と庭園

認定 栄井家
(さかいけ)
[Sakaike]
所在地 右京区  選定番号 第10-061号

推薦理由(抜粋)
 夕焼けと棚田がとてもきれいな集落にある茅葺き屋根の民家。染色工房兼住まいとして活用しながら,懐かしくほっとする茅葺き屋根の風景を残したい。



認定番号 第226号

認定理由
 右京区嵯峨越畑町に位置する茅葺民家である。越畑地区は愛宕山への参詣道に面することから開かれた集落であるとも伝わる。山側に茅葺の農家、その下の西側斜面に棚田が広がる農村景観を作り出している。現在、越畑集落には50棟ほどの家屋が残されている。茅葺きを維持しているものは数棟であるが、トタンをかぶせたものを含めば集落全体の約半数を占める。栄井家は茅葺屋根を維持する建物で、元々の所有者であった瀧井家が、明治30年(1897)頃に古家をそのままの状態で購入したものである。南北に長い敷地で、南半分を田畑とし、中央北寄りに主屋が建っている。主屋正面の南東側に納屋を配し、裏手に蔵、農小屋(旧牛小屋)が建ち並ぶ。こうした屋敷構えは、集落全体に共通して見られる。
 主屋は入母屋屋根で妻入形式とし、南側に入口を向けている。上屋部分は茅葺きで、四周にまわる下屋の一部が桟瓦葺となっている。小屋組は棟木を束で支える形式だが、オダチトリイ型にみられる鳥居形状の部材は省略されている。梁行5間半、桁行6間の規模を持つ。平面は、東側に幅2間の土間を配し、西側には2列3室に計6室を設ける。表側2室と中央2室で柱筋に半間の喰い違いが見られる。下手中央の室は10畳大で最も広く、元は囲炉裏が設けられていた。部材の状況から、明治30年代に古家を購入したという聞取り内容は妥当と考えられ、建築年代は明治前期には遡るものと推測される。活用のため床や間仕切りなど一部に改修が見られるが、全体として明治期民家の平面や意匠が維持されている。主屋南側の西寄りには前栽が設けられ、ロジモンと土塀によって囲われる。裏手の土蔵は主屋と同時期、農子屋は大正期に牛小屋として建てられたと伝わる。表側の納屋は昭和25年頃の建築である。
 住み手のニーズに合わせて手を加えながらも、明治期の茅葺民家が維持されている。各時代に整えられてきた屋敷構えは、集落景観の中で重要な要素となっている。