京都を彩る建物と庭園

今月の「彩」
南禅寺順正
<Nanzenjijynsei>



推薦理由(抜粋)
 天保10年に蘭学医として著名な新宮凉庭によって開設された医学校のあった地である。敷地中央の書院や石門は,往事そのままに残る貴重な建物で,庭園も昔の様相をよく留めている
認定理由
 南禅寺順正は,蘭学医として名高い新宮凉庭が天保10年(1839)に建てた医学校であり文人のサロンであった「順正書院」を元とする。敷地中央に位置する書院は,入母屋造桟瓦葺,数寄屋造となっており,東南に上段の間を置き西側にイロリの間,次の間などを配し,北に茶室を付設する。室内における上段や天井の構成,南側壁面の意匠には,個性的な工夫が見られる。また,書院と供に「花洛名勝図会」にも見られる前庭と石門は,近世来の様相を色濃く残し,書院のまわりを囲む庭は,流水や園地を配したものとなっている。書院,庭の一部がよく保存され,南禅寺と一体となった江戸時代の門前の姿を今に伝え,歴史的な景観を形成するものとして貴重な存在である。

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